会津慶山焼について
 会津慶山焼は、文禄元年(1592年)に会津の領主 蒲生氏郷により黒川城(のちの鶴ヶ城)を七層楼の天守へと大改築する際、 その黒瓦製造のため肥前国 唐津より陶工を呼び迎え 慶山瀬戸場を開窯したことはじまります。
慶山で採れる陶土(慶山土)は良質であったことから茶の湯が隆盛となると茶器を生み、 さらに文久年間(1861~64年)に民窯となってからは 渡部久吉が 会津軽井沢銀山の坩堝(るつぼ)を焼くことで窯場を繁栄させ、以降 民衆の生活に欠くことのできない雑器づくりへと発展してまいりました。

 現在、会津慶山焼は当窯元「香山」一軒のみであり、ロクロ・手びねり・タタラづくりによる成形、 釉薬はケヤキ・籾殻など自然の植物の灰を原料にした灰釉を用いる伝統技法により、土と炎が織りなす色彩の美しさを継承し、 暮らしの中で使われ続ける日々の器の作陶に励んでおります。
慶山焼の制作法は工房へどうぞ
七層楼の鶴ヶ城
完成した七層天守閣の鶴ヶ城(想像図)
慶山焼の特徴
 慶山焼の多彩な釉は 重ね掛けや窯の焚き方などにより発色の幅を広げています。 さらに自然の植物を燃やした灰からつくる灰釉が 豊かな景色をつくります。
紫色  慶山焼に古くからある色合で、ケヤキの木とモミ殻の灰を原料にした釉薬です。 窯は1270℃の高温にすることでガラス質が溶け、艶やかさと暖色の柔らかなグラデーションに発色します。 また窯をゆっくり冷ますことで貫入(かんにゅう・釉薬に入るヒビ)が比較的少なく、普段づかいにも扱いやすいです。
ブルー 素地に下地となる釉を掛けて焼き、その上から灰釉を重ね掛け 本焼きをして色を出します。 素焼きを含めると3回焼くことから 窯によって色のバラつきが生じそこから独特のブルーが生まれています。
均窯・ブルー
吹墨 2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の放映記念を祝して桜色の器を創りました。 白化粧した上から赤色の呉須(絵具)を霧吹きで色をつける「吹墨-ふきずみ-」の技法により、 しなやかな桜吹雪を表現しています。息の吹き加減によって しぶきの模様が濃く淡く変化するため、 つくるたびの面白味があります。
八重の桜プロジェクトの新商品開発企画で期間限定のはずが、おかげさまで慶山焼の春を彩る器になりました。
吹墨
白釉・黒釉 艶やかな白は、お米のもみ殻を原料にした灰釉から色を出し  窯によって真っ白からベージュのやわらかな白に発色します。 キリっとした黒は、マット釉の落着いた雰囲気で ざらりとした質感も新鮮な感覚です。 この対照的な二色の組み合わせで、モノトーンのペアの器を新たに制作しています。 白・黒
器の扱いについて
慶山土はキメが細かく高温で焼き締めていることから、使い始は煮たりせずそのままご使用ください。 日常に使っていただきた器ですので、できるだけ今の暮らしに合った使いやすさとの思いで制作しておりますが、 やきものは少し手をかけると、少しずつ表情がついてきます。ぜひとも、手に目に馴染んでくる器のようすも楽しまれてください。


●色染み 陶器は吸水性が高く 特に貫入がある器はそのヒビから色が入りやすいため、 使う前に器全体を水に浸して水分を含ませておくと色染みを防ぐことができます。
中でも粉引は肌が白く、はじめのうちはヒビの模様が浮きでて目立ちますが 、やがて器自体の色合いが変化してきます。 「器が育つ」と喩え、変わるようすを ゆっくり楽しまれるのも、また粉引の魅力でしょうか。
尚、洗った後には土肌部分のカビを防ぐため しっかり乾いてから仕舞ってください。

●電子レンジの使用 レンジで温める程度でしたら問題なくお使いいただけますが、 調理など長時間の使用は器がもろくなるため不向きです。
粉引(吹墨)や貫入が多く入っている器は、釉の表面に細かいヒビがあることから強度が弱く、 電子レンジの長期使用にり ぶつけた時に縁が欠けやすい・割れやすいといった原因になりますのでお控えください。

●食洗機の使用 電子レンジと同様に貫入や粉引・吹墨の器は食洗機の使用をお控えください。 紫色・ブルー・白釉・黒釉の器は問題なくお使いいただけますが、洗浄時に器同士がぶつからないようお気を付けください。

また、器を強くぶつけた・落としたなどの衝撃があったときは、割れてはいないものの目に見えないヒビが入っている場合があります。 そのまま使い続け 使用中に突然割れるといった事になると危険ですので(特にマグカップの取っ手など)、お使いにならない方が無難です。
貫入
釉薬の表面の細かいヒビのある貫入
粉引
釉薬の下に白泥を掛けた粉引
慶山焼について
慶山焼の特徴
器の扱いについて