ここは、1999年3月の記録です。
- 3/1
朝からやわらかな陽が差しています。きのうの雪が解けて、
屋根のツララが一滴一滴落ちてゆきます。
解けた水をはじく車の音が小さくなってきたようです。
もう路面は乾きはじめています。
- 3/2
きのうのぽかぽか陽気で、そとに並んだ「生乾き」の作品は、十分に
乾燥されました。そしてこのあとは素焼きを待ちます。
- 3/3
お雛まつりです。このお天気で春のお祝いは、
なお一層ウキウキした気分です。
そして、窯出しはじまりました。きのうまで静かに冷まされていた窯場がいっきに
華やいでいます。
きょうも朝から次の「生乾き」が太陽をいっぱい浴びています。
- 3/4
ポカポカ陽気に誘われて
土きど器工芸館の庭にも、ふきのとうが芽を出しました。
毎日、春の楽しみが一つ一つふえていきます。
- 3/5
素焼き前の器を水拭きして、太陽で乾かします。
水をつかう手や陽を浴びる背中にも春が訪れてきました。
鳥のさえずりが晴れた空に響きわたっています。
- 3/6
風が強いです。春一番が吹きました!
ですが、けさは雪がひらひらと雪が舞う冷たい風にかわっています。
この強い風は窯の炎を大きく揺るがしてしまいます。火入れはすこし待ってから。
- 3/7
窯の中にも春を見つけました。
幾重にも釉をかけて温かみのある粉引から、
ピンクやむらさきの淡い釉がふえたようです。
いつもの器に、ささやかな季節の変化を感じます。
- 3/8
ひとふゆガンバった雪づり、雪囲いの撤去をそろそろ。
去年の暮れにいそいで植えた球根がいくつか芽を出しはじめました。
窯場で冬を越した植木鉢や庭の置物もそろそろ。
- 3/9
けさは3基の窯に火が入り、窯場は大いそがし。頭にタオルを巻いてはりきってます。
なんだかこっちも、活気づいてきました。
- 3/10
3基の窯の火がようやく止まり、静かに冷ましています。
さー、つぎの窯焚きにむけて、ロクロが回ります。
新作がうまれたようです。
- 3/11
梅の芽がふくらみはじめ、すこし近づいて見るとちゃんと春の色してます。
三寒四温。明日あたりからまた暖かくなるといいですね
- 3/12
強い風が吹いて、今にも揺だしそうな窯小屋のなかで本焼きの窯積みです。
強風は釉の表情に影響します。火入れまでには収まりますように。
- 3/13
雪つりを取りはずされて、晴れた空に木々が伸び伸びとしています。
風も収まり、窯に火が入りました。
- 3/14
椿が咲きました。大きくふくらんだツボミが花びらを開き始めています。
わが家の春、一番乗りです。
- 3/15
いよいよ'99企画展の準備がはじまりました。
土きど器工芸館の大きな扉が開き、あたたかな風が入ります。
庭の椿が色をつけ、大切に生まれた作品が集まり、
ギャラリーは春色に彩られてゆきます。
- 3/16
降り出しそうな雲行きでしたが、西の方から青空が見えてます。
こっちの山は暗くて、あっちの山は雪が光ってます。
そっちの山が明るくなってきて・・・山に囲まれてます。
- 3/17
天日に干す粘土の乾きが早くなりました。
今日もお天気、素焼きの窯に火が入ります。
- 3/18
彼岸入りにふさわしい、うららかな春の朝です。
土きど器工芸館はあすのオープンにむけ春の装い、もうすぐです。
- 3/19
【我が家に集う仲間展vol.2】開催中です。
さわやかな風にのって仲間たちが集まりました。彼らの笑顔が見えるような作品、
どうぞご覧くださいませ。
- 3/20
小雪がちらつきました。きのうと比べてもグッと冷え込む朝です。
今、窯の火が止まり、土きど器工芸館の工房は余熱であたたかく、
2階のギャラリーは床暖房です。
- 3/21
懐かしいような雪が降りました。きっと見納めの雪ですね。
きょうは春分。日一日桜のつぼみが色づいています。
会津もようやく春にバトンタッチしたようです。
春が本格的に走り出しました。
- 3/22
雪けむりがたち、鮮やかな白い会津です。
横に吹く細かな雪は、山の木々の北がわ半分だけを白く覆って、
輪郭がはっきりわかります。
日が差し路面はすっかり解けました。積もる雪ではなく、眺める雪のようです。
慶山焼に彼岸獅子が来ました!
小雪のちらつく中、軽快なお囃子と太鼓の音に合わせて、華麗な3匹の獅子の舞いが行われました。
弓をくぐり、疫病退散・五穀豊穣など祈願。
春彼岸の間、家々をまわり、会津に本格的な春の訪れを告げます。
- 3/23
雪掻きで一日のスタートです。粉雪が積もったので、いくぶん軽くて楽です。
一段落ついた頃に、辺りを見まわしたら、路面の雪はもうすっかり解けてました。
そろそろ終業式を終えた小学生が帰ってきます。
太陽が出てきました。屋根の雪にご注意ください!
- 3/24
外はすごいお天気です!一基が窯出し、一基が窯焚き、粘土を天日に干して・・・
工房には誰もいません…。
こんなにあたたかでは、やっぱり外での作業が気持ちいいです。
- 3/25
土きど器工芸館に春が集まりました。
華やかに、ナチュラルに、新しく、そして淡く柔らかにと、
作品が春を伝えています。
時間はゆっくりと流れています。
うららかな日差しに誘われ、どうぞお出かけくださいませ。
- 3/26
火が入ったばかりの窯場が少し暑く感じるくらい、
今日はどこにいてもあたあかい一日です。
ポツンポツンと咲いたばかりの鮮やかな花が目に止まります。春ですね〜。
- 3/27
早朝に窯の火がとまりました。
小雨の降る肌寒い朝なので窯の余熱が辺りにじんわりと伝わってきます。
窯の中はまだ900℃以上、すべてが橙色で熱しています。
ゆっくり冷まされ、釉の表情がまたつくり出されます。
- 3/28
きのう小雪が舞ったと思ったら、今朝は空が青くすがすがしい春の日です。
ストーブをつけようかと迷うところですが、外は心地いい穏やかさです。
萌黄色がだんだんと色をつけてきました。梅の花はもう少しといったところです1。
- 3/29
ただいま素焼きの窯出し中です。窯の中から出てくる素焼きの器はまだ、ほのかに温みが感じられます。
だいぶ丈夫になって、ひとつひとつと積み重ねられていきます。
『Yahoo! Internet Guide』5月号に会津慶山焼のページを紹介いただいております!
どうぞご覧ください。
- 3/30
釉薬がゴロンゴロ〜ン鳴ってます。
乳鉢のアンツァマ(訳:お兄さん)みたいなキカイで
釉薬をなめらかに練る音がゴロ〜ンゴロロ〜ン・・・
できた釉薬はきのう窯から出た素焼きに掛けて、あしたの窯積み待ちです。
- 3/31
赤色の彩色をほどこした赤絵の器は、
春の華やかさをもっと楽しませてくれる気分になります。
春と秋にしか窯が焚かれない、慶山焼ではめずらしい赤絵。
ただいま、絵付けの最中です。